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「医療費増はテクノロジーの進歩で抑制できる論」はたぶん間違い

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こんにちは。香川健介です。

よく「医療費の問題は、医療のテクノロジーが進歩すれば解決できる」と言う人がいます。
特に、IT業界の人に多いです。

私もそうなればいいなと思いますし、新しくて面白いサービスをどんどん提供しているIT業界にも、とても好印象を持っています。

ただ、個人的には「テクノロジーが進歩すると医療費の増加を抑制できるという意見は、おそらく間違いだろうな」と考えています。

こう考える理由は、ここのところ国全体の医療費が増えている主要因が、医療の高度化と高齢化の2つだからです。
(詳しく知りたい方は、こちらの厚生労働省の資料をご覧ください)

では、もし今後、医療のテクノロジーが進歩すればどうなるでしょうか。

おそらく、医療技術は進歩するでしょう。
治せなかったがんが治るようになるかもしれませんし、エイズを完治できるようになるかもしれません。

いうまでもなく、これ自体はとても良いことです。

しかし、残念なことに医療費はものすごく増えるはずです。
治せなかったがんを治せるようになったり、エイズを完治できたりするようになったら、その治療にかかるお金は当然高くなるからです。
ある程度は抑制できますが、治療法の開発コストを賄う必要があるため、どうしても高くなります。
もしそれを賄えなかったら、医療技術の進歩は起きにくくなるでしょう。

医療技術が進歩するということは「医療の高度化」そのものであり、当然お金がかかるのです。

先ほどの厚生労働省の資料にもある通り、医療技術は進歩し続けていますが、これが医療費の増加の大きな原因となっています。

ですので、「テクノロジーが進歩すると医療費の増加を抑制できる」という意見は、残念ながらおそらく間違いなのです。
医療技術が進歩しても、医療費が減るわけではないんですよね。むしろ増えると。残念ですが。

もちろん今後、薬や医療機器それぞれの分野で品質よくて安いものが登場してくる可能性はゼロではありません。
そうなるよう、政府側も制度を整え、低コストで良い製品が出るよううまくインセンティブ付けすることが必要です。
ただ、現時点でそれがうまくいきそうな兆候は、ありません。うまい制度設計も、なかなかできないんですよね。

以上のような現状を鑑みると、医療技術が進歩して医療費が減るのは、まったく想像できません。

医療費が増加し、社会の負担が増えるのは、ほぼ確定していると考えるのが自然でしょう。
制度を変えれば医療費が2割程度は減るかもしれませんが、抜本的に解決できるうまい方法はおそらくありません。困ったものです。

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