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書評や書籍関係の話

【書評】『原因と結果の経済学』は大変すばらしい名著。著者は漫画化やテレビ出演を検討すべき。

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因果推論について、ものすごくわかりやすく丁寧に書かれた良書です。
「こんな本がもし学生時代にあれば、どれほど助かっただろうか・・・」と感じた読者は多いでしょう。

本書のどんな点が良いのか?ということ自体は他の書評ブログやAmazonレビューに山ほどあるので、本記事では少し違った切り口で書いてみます。

著者の中室牧子氏と津川友介氏が本書を書いた理由のひとつは、因果関係と相関関係をごっちゃにしていたり、もっともらしいが本当は間違っている根拠のない通説を信じている人たちに、そうではないんですよ、と気づいてほしいからだと聞きました。

それを実現するためには、読者にわかりやすく伝えることが必要になります。

本書はそのために、構成や内容がすごく工夫されています。

まず耳目をひくトピックを出し、読者に興味を持ってもらった上で、それについて解説するという構成になっています。
内容についても、齟齬がないよう、細心の注意が払われています。

他にも、いろいろな工夫があります。
本を書いた経験がある方がこの本を読んだら、「ここまで練りこんで作るのは、ものすごく大変だっただろうな・・・」と思うはずです。

少なくとも、著者の中室氏と津川氏が苦心したことは間違いないでしょう。
もし私がこのレベルで練りこまれた本を書けと言われたら、途方にくれて泣きます。
大変であり、また、すごく難しいことです。

その結果、本書はとにかくとてもわかりやすく、また内容もしっかりしたものになりました。
私の知人のなかで割と頭のいい人たちの間でも、評判が大変良いです。
統計を専門で使ってたり、経済学をかなりがっつりやってた人たちをはじめ、ガチ勢の人たちもこぞって褒めています。

 

ただ、彼らはそもそもが知的な人たちなんですよね。

 

本書で議論されているテーマは「原因と結果」という、とても抽象的なものです。

本書はとてもわかりやすく工夫された本書ですら、抽象的な思考に慣れていない人が本書の内容を理解するには、本書のレベルですら難しいという人がけっこういるはずです。

著者の中室氏と津川氏が本書を本当に読ませたい層に、本書の内容を理解してもらうためには、さらにもうひと工夫することが必要になると思います。

たとえば、本書の内容を漫画化するのはとても良いのではないでしょうか。
本だと理解できなくても、漫画だと理解しやすいという人は多いですし。

あとは、著者あるいは因果推論に詳しい人などがテレビに出演し、説明するのも、とても良いと思います。
これによって、本を読まない人にもアプローチできます。

繰り返しますが、本書は非常に優れた本です。
この本をベースに、相関関係と因果関係がごちゃごちゃになっている人が多い状況が、少しでも改善していけばいいなと思っています。

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